茨城県の日本酒銘柄一覧
二人舞台
ふたりぶたい「二人舞台(ふたりぶたい)」は、大切な人と二人で過ごす時間に寄り添うことをコンセプトにした、ロマンチックな銘柄です。恋人や夫婦、友人と静かに語らうシーンを「美しい舞台」に見立てた名には、酒造りの芸術性も込められています。 菊乃香酒造の最高峰とも言える大吟醸原酒などは、華やかな吟醸香と重厚な味わいが特徴で、特別な日のための一献として選ばれています。 贈答用としても高い人気を誇り、贈る人と受ける人の「二人の時間」を豊かに彩る、物語性溢れる銘柄です。
十王蔵
じゅうおうぐら「十王蔵(じゅうおうぐら)」は、日立市十王町という蔵の所在地を名に冠した、地元の誇りを象徴する銘柄です。「十王」の名は、十人の王を祀ったという土地の伝説に由来する、非常に歴史的な名称です。 JR十王駅から徒歩圏内という、地域に開かれた蔵で醸されており、地元の風土を映し出した酒造りを行っています。 地域に根ざした活動を通じて十王町の魅力を発信する、地元の人々に愛される伝統と親しみやすさが同居した銘柄です。
富久心
ふくごころ「富久心(ふくごころ)」は、明治10年(1877年)創業の椎名酒造店が醸す、140年以上の歴史を持つ銘柄です。日立市十王町高原の奥久慈の山々に囲まれた環境で、少量生産による丁寧な手造りを続けています。 銘柄名は、初代・富蔵と4代目の母・和久里の名から一字ずつ取り、「心を込めて醸す酒」という想いを込めて命名されました。家族の絆と真心を込めた酒造りの理念がその名に宿っています。 蔵の敷地内から湧き出る清冽な湧き水を仕込み水に使用し、フルーティーな香りと米の旨味、そして繊細で素朴な味わいが特徴です。ほぼ全ての生産が茨城県内で消費される、地域の人々に大切に育まれてきた希少な地酒です。
森嶋
もりしま EC「森嶋(もりしま)」は、明治2年(1869年)創業の森島酒造が令和元年(2019年)に立ち上げた、6代目蔵元・森嶋正一郎氏の名を冠した新銘柄です。太平洋までわずか数歩という海辺の蔵で、「フレッシュ・軽快・透明感」をモットーに醸されています。 食事を引き立てる綺麗な透明感と、口の中をリセットする程よい酸味、そして極限まで甘さを抑えた爽やかなキレが特徴です。 日立の豊かな海の幸と見事に調和する「海の酒」として、日本酒の新しいスタンダードを追求し、国内外で大きな注目を集めているブランドです。
富士大観
ふじたいかん「富士大観(ふじたいかん)」は、近代日本画壇の巨匠・横山大観氏が愛飲したことで知られる、森島酒造の伝統銘柄です。画伯が五浦に暮らしていた際に蔵元と親交があったことから、昭和28年(1953年)に「大観」と命名されました。 創業150周年を機に、大観画伯が富士山を好んで描いたことや、日本一の象徴であることにちなみ「富士大観」へと一新されました。 画伯の芸術性と日本の美意識を日本酒に重ね合わせ、気品ある香りと芳醇な味わいが特徴です。150年以上の歴史が生み出す、伝統と格式を感じさせる茨城を代表する銘柄の一つです。
住の友
すみのとも「住の友(すみのとも)」は、明治42年(1909年)創業の住の友酒造を代表する歴史ある銘柄です。北茨城市平潟町という、太平洋を一望できる港町で醸されています。 「住む友」という名には、地域の人々に寄り添い、生活に溶け込む地酒でありたいという蔵の願いが込められています。 花園山系の清冽な湧水を仕込み水に使用し、地元の海の幸との相性を追求した、すっきりと辛口の味わいが特徴です。100年以上にわたり北茨城の漁師や地域住民に愛され続けてきた、素朴で力強い味わいの地酒です。
天心抄
てんしんしょう「天心抄(てんしんしょう)」は、北茨城にゆかりの深い美術評論家・思想家の岡倉天心にちなんで命名された、住の友酒造の芸術性豊かな銘柄です。晩年を五浦海岸で過ごした天心の精神と、北茨城の文化的な薫りを酒で表現しています。 醸造委託を行いつつも、蔵独自のこだわりによって磨き上げられたその味わいは、爽やかな飲み口と、純米酒でありながら吟醸酒を思わせる華やかな香りが特徴です。 ほんのり甘く柔らかで、まるで日本画のような繊細な美しさを感じさせる酒質は、天心が愛した北茨城の美しい自然景観を彷彿とさせ、芸術や歴史を愛する人々からも高く評価されています。
稲の盛
いねのもり「稲の盛(いねのもり)」は、常陸大宮市上大賀に位置する浅川酒造が手掛ける、極めて希少な地酒です。銘柄名は、黄金色の稲穂が豊かに実る、茨城の美しい田園風景への敬意を込めて命名されました。 酒蔵は家族経営の極めて小規模な体制で、直売や一般的な小売店での流通は行っておらず、地元の限られた酒屋でのみ目にすることができる「幻の酒」として知られています。 大量生産とは無縁の、地域の人々の生活に密着した素朴で手造りの味わいが特徴です。地元の食文化に根ざし、口コミだけでその存在が語り継がれてきた、まさに知る人ぞ知る茨城の秘蔵酒です。
美人鶴
びじんづる「美人鶴(びじんづる)」は、浅川酒造が手掛けるもう一つの伝統銘柄です。鶴は古来より長寿と吉祥の象徴であり、その気高く美しい姿を酒名に冠しています。 地域密着型の酒造りを貫く浅川酒造において、地元の冠婚葬祭や祝いの席を彩る一献として、長年大切に供されてきました。 大量生産を行わない家族経営の蔵ならではの、職人の手の温もりが感じられる素朴な味わいが魅力です。茨城の風土と、地域の人々の絆を象徴する、温かみのある銘柄です。
酔富
すいふ「酔富(すいふ)」は、大正6年(1917年)創業の酔富銘醸が醸していた、常陸大宮市を代表する銘柄の一つです。蔵はJR常陸大宮駅近くの中富町に位置し、長年地域の人々に親しまれてきました。 主なラインナップには、代表銘柄の「酔富」のほか、最高級品の「垂涎の的(すいえんのまと)」、茨城県産米を使用した「純米きぬひかり」、さらにユニークな商品名で話題を呼んだ「くどいて(純愛吟醸)」など、多様な商品がありました。 長年地域の酒造文化を支えてきましたが、東日本大震災による設備の被災や需要の減少などが重なり、2016年に製造を停止、その後100年余の歴史に幕を下ろしました。現在でもその確かな味わいは、地元の日本酒ファンの記憶に深く刻まれています。
カミマル
かみまる「カミマル」は、2011年の東日本大震災後、母屋の屋根瓦に旧屋号『上丸(かみまる)』のマークが刻まれているのが発見されたことをきっかけに誕生した、復興と希望の象徴となるブランドです。困難を乗り越え、新たな一歩を踏み出す決意が込められています。 茨城県オリジナルの酒造好適米「ひたち錦」を贅沢に使用し、従来の日本酒のイメージを覆すやわらかい口当たりと、まろやかで洗練された味わいが特徴です。 国内外の色々な場面で楽しめるモダンな設計となっており、スタイリッシュなデザインと共に、幅広い層の人々に愛されています。
久慈の山
くじのやま「久慈の山(くじのやま)」は、慶長8年(1603年)創業の根本酒造が400年以上にわたり醸し続けてきた、歴史と伝統を象徴する銘柄です。奥久慈の雄大な自然への敬意と、揺るぎない品質への願いがその名に込められています。 名水として名高い駒形神社の御神水と、豊穣な大地が育んだ厳選された酒米、そして熟練の杜氏の技が三位一体となって生み出されます。 すっきりとした口当たりに豊潤な旨味が広がる淡麗辛口の味わいが特徴で、長年地域の人々の祝宴や日常のひとときを彩ってきました。茨城の酒造史を物語る、伝統と風格を兼ね備えた名品です。
旭桜
あさひざくら「旭桜(あさひざくら)」は、明治29年(1896年)創業の珂北酒造を象徴する主力銘柄です。その名は、かつて蔵の近くを流れていた旭川のほとりに咲き誇る、朝日に照らされた桜の美しさに感動して命名されました。 日本三大名瀑の一つ「袋田の滝」で知られる大子町の、清らかな久慈川の伏流水を仕込み水に使用しています。盆地特有の寒暖差の激しい気候が、酒に深い味わいとキレをもたらします。 淡麗辛口でありながら、熟成によって育まれたフルーティーな旨味とバランスの良さが特徴です。奥久慈の豊かな自然と、100年以上の歴史が育んだ、情熱溢れる手造りの逸品です。
清香酒
せいこうしゅ「清香酒(せいこうしゅ)」は、珂北酒造が醸す本醸造酒などの伝統的なラインナップです。奥久慈の清冽な水と空気が生み出す、純粋で透明感のある香りと味わいを瓶に詰め込んだ一献です。 蔵のギャラリーには、この銘柄の文字を書いた著名人の書も飾られており、地域に深く根ざした文化的な価値を今に伝えています。 穏やかで上品な香りが特徴で、毎日の食卓に寄り添う、地元・大子町の人々に長年愛されてきたスタンダードな地酒です。
袋田紀行
ふくろだきこう日本三名瀑の一つ「袋田の滝」にちなんだ銘柄名で、大子町の代表的な観光名所を酒名に冠しています。袋田の滝を訪れる旅の思い出として、また大子町の魅力を伝える銘柄として親しまれています。 四季折々に異なる表情を見せる袋田の滝のように、日本酒も季節や温度によって様々な味わいを楽しめるという意味も込められていると考えられます。観光と日本酒を結びつける、地域振興の役割も担う銘柄です。
月居姫
つきおれひめ「月居姫(つきおれひめ)」は、珂北酒造の文化的・芸術的背景を象徴する、優雅で神秘的な銘柄です。その名は、蔵のギャラリーに飾られている鈴木鼓村(丸山四条派の画家)による絵画に由来し、歴史ある芸術作品と日本酒の融合を表現しています。 月明かりの下で佇む姫のような、繊細で奥ゆかしい味わいを目指して醸されています。奥久慈の清冽な水が、その透明感あふれる品質を支えています。 物語性と芸術性を兼ね備えた銘柄として、国内外の日本酒ファンに、大子町の豊かな文化と伝統的な美意識を伝える役割を果たしています。
四度の瀧
よどのたき「四度の瀧(よどのたき)」は、明治元年(1868年)創業の家久長本店が手掛ける最高級の銘柄です。その名は、大子町にある日本三名瀑の一つ「袋田の滝」の別名である「四度の滝」に由来します。 袋田の滝が四季折々に四度の美しさを見せるように、この酒もまた、奥久慈大子の厳冬期にのみ醸される、繊細で奥深い味わいを目指しています。八溝山系の清冽な伏流水と、伝統の技が織りなす大吟醸酒は、気高く華やかな香りと透き通るような飲み口が特徴です。 地域のシンボルである名瀑の名を冠したこの酒は、まさに大子町の風土と歴史が凝縮された、特別な一献として愛されています。
家久長
かくちょう「家久長(かくちょう)」は、江戸末期に創業のルーツを持ち、明治元年に本格的な蔵元として興った家久長本店の屋号を冠した代表銘柄です。「家が久しく長く栄えるように」という願いが込められた、おめでたい名を持つ伝統の一献です。 奥久慈大子の清冽な八溝山系の伏流水を使用し、厳寒期に丁寧に手造りされるその味わいは、すっきりとキレの良い淡麗辛口のなかに、豊かな米の旨味を感じさせます。 古くから地域の人々の生活に寄り添い、お祝いの席や日常の食卓を彩ってきました。4代、5代と受け継がれてきた伝統的な手法と、茨城の豊かな風土を象徴する、歴史ある地酒です。
霊水八溝
れいすいやみぞ「霊水八溝(れいすいやみぞ)」は、八溝山系の霊峰から湧き出る清冽な水を最大限に活かした純米酒ブランドです。「霊水」という名が示す通り、神聖で特別な力を持つとされる名水の個性を、日本酒のなかで表現しています。 名水百選にも選ばれる八溝山系の軟水を仕込み水に使用し、八溝おろしの冷涼な空気と茨城酵母が調和して醸し出される、繊細で奥ゆかしい味わいが特徴です。 大子町の豊かな自然が育んだ水の良さを、そのまま瓶に詰め込んだような純粋な品質は、水の個性を愛する日本酒ファンからも高く評価されています。
すだれ
すだれ「すだれ」は稲葉酒造が醸す、筑波山の自然を感じさせる銘柄です。筑波山神社近くの歴史ある蔵元で、筑波の湧水を仕込み水として使用しています。 すっきりとした辛口の中に、米のふくよかな旨味が感じられる味わいが特徴です。冷やから燗まで幅広い温度帯で楽しめる食中酒として、地元の人々に長年愛され続けています。 伝統的な製法を守りながら、手造りの良さを活かした酒造りを続けており、筑波山の参拝客や登山客にも親しまれている地酒です。