ポンシュ

Ponsh

スパークリング日本酒入門|発泡のしくみと選び方

種類#爽酒#初心者#ギフト#sparkling

グラスに注ぐとシュワっと泡が立つ日本酒。乾杯やギフトの席で手に取る人が増えました。ただ、ひとくちにスパークリング日本酒といっても、泡の作り方は大きく3通りに分かれます。作り方が違えば、泡の細かさも、甘辛も、開け方の注意まで変わります。「どれを選べばいいか」「活性酒はなぜ噴くのか」を、しくみから順にたどります。

スパークリング日本酒とは

発泡性のある清酒、つまり炭酸ガスを含んだ日本酒のことです。ここでの「発泡性」は、栓を開けたときに立ちのぼる泡を指します。泡の正体は炭酸ガス。酵母が糖を分解してアルコールとともに生み出したガスか、あとから吹き込んだガスのどちらかです。ラベルには「発泡性」などの表示が見られます。度数は低めの造りが目立ち、日本酒に慣れていない人の入り口にもなります。

泡のつくり方は3通り

泡をどう生むかで、味わいも扱い方も分かれます。代表的なのが瓶内二次発酵、炭酸ガス注入、活性にごりの3方式。まず全体像を表で見比べてください。

方式 泡の生み方 泡・味の傾向 保存の目安
瓶内二次発酵 発酵途中の酒を瓶に詰め、瓶の中で発酵を続けて自然にガスをためる 泡がきめ細かく長もち。すっきり澄む 要冷蔵が基本
炭酸ガス注入 できあがった清酒に炭酸ガスを吹き込む 泡はやや大きめ。味が安定 常温でも安定しやすい
活性にごり 発酵中のもろみをにごったまま瓶詰めし、瓶内でも発酵が続く 微発泡で、にごりの甘みと酸味 要冷蔵。発酵が進む

もろみとは、米・こうじ・水・酵母が混ざって発酵している、しぼる前の中身のことです。この、もろみをいつ・どう扱うかで3方式が枝分かれします。

瓶内二次発酵は、シャンパンと同じ原理。発酵の途中で酒を瓶に移し、栓をして中で発酵を続けさせます。閉じ込められた炭酸ガスが酒に溶け込み、細かい泡が長く立ちのぼります。澄んで透明なものが多く、乾杯の一杯に映えます。

炭酸ガス注入は、炭酸飲料と同じ考え方でしょう。できあがった清酒にガスを吹き込みます。発酵はすでに終わっているので味がぶれにくく、常温でも品質が保ちやすい造りです。瓶の中で発酵が進まないぶん内圧が高まりにくく、炭酸飲料と同じ感覚で開けられます。泡はやや大きめですが、よく冷やせば爽快感は十分。扱いがやさしい。最初の一本に向くのはこのタイプです。

活性にごりは、発酵の途中のもろみを、にごったまま瓶に詰めたものです。酵母が生きたまま入っているため、瓶の中でも発酵が続きます。口当たりは微発泡でやさしい。にごり由来の甘みと酸味がのります。発酵が続くぶん、瓶の内圧は上がっていきます。冷やさずに開けると栓が飛ぶことがあり、開け方に手順が要ります(後述の「開栓と保存の注意」を必ず読んでください)。にごりそのものの造りと味はにごり酒の楽しみ方でくわしくふれます。

味とタイプで選ぶ

選ぶ軸は3つ。甘辛、度数、そして透明かにごりかです。甘口から辛口まで幅があり、乾杯や食前には甘くて軽いタイプが親しみやすいでしょう。度数は低めの造りが目立ちます。見た目は、澄んだ透明タイプと白くにごるタイプに分かれ、印象がずいぶん変わります。香りと味わいの読み方そのものは味と香りの基礎にまとめました。

awa酒などの品質基準

造り手の団体が、独自の品質基準を設けている例もあります。代表がawa酒協会の「awa酒(AWA SAKE)」認定。醸造中の自然発酵による発泡と、透明な見た目をそろえた酒だけを認める基準です。この基準を掲げて設立されたのが、永井酒造(群馬県)の永井則吉氏を初代理事長とするawa酒協会です。認定酒は瓶内二次発酵による透明なスパークリングにしぼられます。おもな条件を表にまとめます。

項目 認定の条件
原料 米、米こうじ、水のみ。日本酒であること
国産米を100%使用(農産物検査法で3等以上に格付け)
発泡 醸造中の自然発酵による炭酸ガスのみを保有
外観 視覚的に透明で、注ぐと一筋の泡が立つ
アルコール分 10度以上
ガス圧 20度で3.5バール以上
品質 常温で3か月以上、香味・品質が安定。火入れ殺菌を行う

火入れとは、酒を加熱して殺菌し、品質を安定させる工程です。ここで気をつけたいのは、この基準が法律ではないこと。造り手の団体が定めた自主基準です。項目や数値は見直されることがあります。認定の有無は品質を測るひとつの目安として受け取り、最新の内容は協会の公表で確かめてください。

活性酒は冷やして少しずつ開ける(開栓と保存の注意)

活性にごりや瓶内二次発酵の酒は、瓶の中に強い圧力がかかっています。温度が上がったり衝撃を受けたりすると、栓が飛ぶ、瓶が破裂するといったおそれがあります。まず結論。よく冷やし、瓶口を人に向けず、栓は少しずつゆるめる。急がないこと。 ある造り手(吉村秀雄商店)は、活性にごり酒の扱いを次のように案内しています。内圧の高い瓶内二次発酵の酒も、これに準じて扱うと安全です。

  • 保管は5度以下。よく冷やしてから開ける
  • 運んだ直後は開けない。開ける前に瓶を振らない
  • 瓶口を覗き込まない。人に向けない
  • 受け皿やタオルを用意し、噴きこぼれても困らない場所で開ける
  • 栓を少しずつゆるめ、泡が上がったら止める。落ち着いたら、またゆるめる。これを繰り返してガスを逃がす

開栓には時間がかかります。焦らず、ガスが静まってから開けきるのが安全策です。冷やし方や置き場所など保存の基本は温度と保存を合わせて読んでください。

合う場面と、はじめの一本

乾杯の口開け、食前の一杯、そして贈りものに向く酒です。よく冷やすと泡が締まります。香りも軽やかにまとまります。はじめの一本なら、甘くて度数低めの透明タイプが飲みやすいはず。きめ細かい泡を味わいたいなら瓶内二次発酵、素朴な甘みならにごりタイプ、と好みで絞れます。

店で選ぶときの目印は、ラベルの「発泡性」表示と、澄んでいるか白くにごっているかの見た目です。透明タイプを確実に選びたいなら、awa酒協会の認定マークが一つの手がかりになります。贈りものなら、相手が安全に開けやすい透明タイプ(瓶内二次発酵やawa酒認定酒)が無難です。予算やのしを含む選び方はギフトの選び方、価格帯の目安は価格帯別も参考になります。

泡の出どころが分かれば、味の見当も、開け方の注意も見えてきます。瓶内二次発酵はきめ細かく、注入は手軽で安定、活性にごりは素朴で扱いに注意。飲む場面と、にごりの有無で一本を選んでみてください。

※この記事は20歳以上の方を対象としています。飲酒は適量を守り、妊娠中・授乳期の方や運転前の飲酒は避けてください。

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