料理に使う日本酒入門 料理酒・みりんとの違い
迷ったら、臭み消しは料理酒か清酒、照りと甘みはみりん。まずこれだけで足ります。
和食のレシピの「酒」は、飲む日本酒でも料理酒でも作れます。違いは塩分と甘みの有無だけ。料理酒は塩を含み、清酒(飲用の日本酒)は塩を含まず、みりんが甘みと照りを受け持ちます。この違いを押さえると、棚で迷いません。
料理酒・清酒・みりんは何が違うか
三つの分かれ目は、塩分の有無と、甘みを担うかどうかです。アルコール分・塩分・役割で見比べると、選び分けがはっきりします。
| 種類 | アルコール分 | 塩分 | こんな時に選ぶ |
|---|---|---|---|
| 料理酒(加塩タイプ) | 約10〜14度 | あり | 臭み消しに(塩を含むので味付けは控えめに) |
| 清酒(飲用の日本酒) | 15度前後 | なし | 臭み消し+旨味(塩がなく味の調整が自由) |
| 本みりん | 約14度(15度未満) | なし | 照り・甘み・コクを出す |
| みりん風調味料 | 1度未満 | ほぼなし | 甘み・照りだけ手軽に(コクは弱め) |
料理酒は塩入りが多く、みりんは糖が主役です。清酒は違います。塩も糖も加えない点で、料理酒ともみりんとも一線を画します。
料理酒とは
料理酒は、多くが食塩を加えた調味用の酒です。塩を加えて飲めなくした酒は酒税法上の「酒類」に当たらず、酒販免許のない店でも売られています(この加工を不可飲処置と呼びます)。
役割は二つ。素材の臭み消しと、身をやわらかくすることです。魚や肉の下ごしらえに向きます。
注意したいのは塩分です。料理酒は塩を含むため、しょうゆや塩を足すときは控えめにします。塩分量は製品ごとに差があるので、ラベルの食塩相当量を確かめてから使うと、味がぶれません。売り場でも見分けはつきます。ボトルの表示が「清酒」なら塩なし、「料理酒」なら多くが塩入りです。
なお、塩を加えない清酒タイプの料理酒もあります。この場合は、下で説明する清酒と同じ感覚で使えます。
みりんとは
みりんは大きく二種類に分かれます。本みりんと、みりん風調味料です。名前は似ていても中身が違います。
本みりんは、もち米・米こうじに、焼酎または醸造アルコールを加えて造る酒類です。アルコール分は15度未満(実際は14度前後)で、糖分をたっぷり含みます。糖とアルコールの働きで、照り・コク・上品な甘みが出ます。
みりん風調味料は、水あめなどの糖類に調味料を合わせたものです。アルコール分は1度未満。酒類には当たりません。甘みと照りは付きますが、アルコールによる臭み消しやコクは弱めです。加熱で煮切る(火にかけてアルコールを飛ばす)必要がない分、火を止めた後に加えても使えます。
中間に「発酵調味料(みりんタイプ)」もあります。アルコールを含みますが、塩を加えてあるため酒類ではありません。塩分がある点は料理酒と同じです。
飲む清酒を料理に使うとどうなるか
飲む清酒(日本酒)も料理に使えます。むしろ塩分がない分、塩やしょうゆの量を自分で決められるので、味の設計がしやすくなります。
清酒は米由来の旨味と香りを持ち、煮物やだしに加えると、風味に厚みが出ます。飲んで残った一本を調理に回すのも実用的です。
高価な酒を選ぶ必要はありません。加熱で香りの繊細さは飛びます。手ごろな純米酒で十分です。純米や吟醸の違いは純米・吟醸・大吟醸の違いを参照してください。選び方は買い方ガイドにまとめています。
用途別の使い分け
用途で選ぶと迷いません。臭み消しなら料理酒か清酒、照りと甘みならみりんです。
- 煮物 … 清酒か料理酒でうまみを足し、本みりんで照りと甘みを付ける
- 照り焼き … 本みりんが照りを出す。仕上げに加えると艶が立つ
- 魚や肉の下ごしらえ … 料理酒で臭みを抑える
- 酒蒸し … 香りを生かすなら清酒
塩を含む料理酒や発酵調味料を使う日は、味付けの塩を先に減らして調整します。
なお、本みりん・清酒・加塩料理酒・発酵調味料はアルコールを含みます。加熱すれば大部分は飛びますが、加熱が短い料理では一部残ることがあります。妊娠中・授乳期の方や子ども、運転前の方に出す料理では、しっかり煮切るか、アルコールをほぼ含まない「みりん風調味料」を選ぶと安心です。
代用の可否と分量の考え方
足りないときは、無理のない範囲で置き換えられます。
- 清酒 → 料理酒 … 使えます。塩分が加わるので、塩やしょうゆを減らす
- 料理酒 → 清酒 … 使えます。塩を別に足して補う
- 本みりん → みりん風調味料 … 甘みは近づきますが、コクと照りは弱くなる
- 本みりん → 砂糖+清酒 … みりん大さじ1に対し、清酒大さじ1+砂糖小さじ1〜大さじ2分の1が目安。甘みは好みで加減する
分量は少なめから。味を見ながら足すと外しません。塩を含む調味料が絡む代用では、まず塩分から調整すると仕上がりが安定します。
※この記事は20歳以上の方を対象としています。飲酒は適量を守り、妊娠中・授乳期の方や運転前の飲酒を避けてください。