株式会社高橋商店は、江戸時代享保2年（1717年）に創業した300年以上の歴史を誇る老舗酒蔵です。初代高橋六郎右衛門が米どころ八女で造り酒屋を開業したことに始まり、以来九代目竹吉による基礎固め、十代目繁太郎による会社組織への改組など、様々な変遷を経て現在の十九代目に至っています。
代表銘柄「繁桝」の名は、十代目高橋繁太郎の名前の「繁」をとり、酒を量る桝が益々繁栄するようにとの願いを込めて命名されました。この銘柄名には、家業の繁栄と地域の発展への願いが込められており、300年の歴史を八女に刻み続ける蔵元の象徴となっています。
仕込み水には、カリウム・リン酸・マグネシウムを適度に含んだ清冽な矢部川の伏流水を使用しています。この水は発酵に適した成分バランスを持ち、繁桝の味わいの基礎を形作っています。原料米には、山田錦・雄町・吟のさと・夢一献といった福岡県産の酒造好適米を使用し、地元の米にこだわった酒造りを実践しています。
製法面では、江戸時代から続く伝統的な手法を守りながら、現代的な品質管理を融合させています。特に「麹造り」を最も重要な工程の一つと位置づけ、昔ながらの木製の麹室で蔵人が手間と時間をかけて良質な麹菌を育てています。代々伝わる伝統的な製法と、美味しさを追求し続ける麹づくりから生まれる酒は格別の味わいです。
高橋商店の特徴は、日本酒だけでなく焼酎の製造にも力を入れている点です。日本酒の麹造りの技術を焼酎製造にも活かし、「箱入娘」という人気の芋焼酎ブランドも展開しています。