田嶋酒造は嘉永2年（1849年）に福井県丹生郡（現在の福井市清水町）で創業し、現在は福井市桃園町に位置する歴史ある酒蔵で、伝統的な山廃仕込みによる日本酒造りを170年以上にわたって継承しています。昭和後半まで全量山廃仕込を行ってきた蔵として知られ、現在も山廃仕込みに特に力を注ぎ、伝統製法の技術を磨き続けています。
代表銘柄「福千歳」は、「至福の食中酒」というコンセプトのもと醸造されており、山廃仕込みによって生み出されるクリアな酸味は天然の乳酸菌が時間をかけて働くことで生まれる独特の味わいです。この乳酸菌の働きによって酒の味わいに奥行きが生まれ、現代の脂っこい料理にも負けず、むしろその旨味を引き立てる食中酒として高い評価を得ています。上品な香りとふくよかな味わいが特徴で、山廃仕込み特有の酸味が全体のバランスを整えています。
原料米には福井県産米を100％使用することにこだわり、特に福井県大野市の契約栽培農家が丹精込めて育てた酒造好適米「越の雫」を使用した「福千歳 徳」は、独特の旨味を持つ逸品として知られています。地元福井の風土が育む米の個性を最大限に引き出す酒造りを実践し、少量生産ながら品質にこだわる姿勢を貫いています。
七代目蔵元杜氏の田嶋悠次郎氏のもと、「オンリーワンな酒蔵」を目指し、伝統の山廃仕込みを守りながらも革新的な挑戦を続けています。ワイン酵母を使用した「PURE RICE WINE」や、フランス・セガンモロー社製のオーク樽で熟成させた日本酒など、日本酒の新たな可能性を開拓する試みに積極的に取り組み、伝統と革新の融合による独自の酒造りを展開しています。
国際的な評価も高く、Kura Master 2018・2019で金賞、ロンドン酒チャレンジ2015・2016で金賞、インターナショナル・ワイン・チャレンジ2008で銀賞、全米日本酒歓評会2009で金賞など、数々の受賞歴を誇ります。山廃仕込みという伝統製法を守りながら、時代に合わせた新しい日本酒造りにも果敢に挑戦する姿勢が、田嶋酒造の個性と魅力を形成しています。