高橋酒造店は秋田県仙北郡美郷町六郷地区に位置し、「名水百選」に選定された「六郷湧水群」の恵みを最大限に活かす酒造です。町内に約60カ所の湧水ポイントを擁する六郷は全国屈指の名水地帯で、高橋酒造店も複数の湧水を仕込水として利用しています。
特に「宝門清水」と「笑顔清水」という二つの異なる湧水を酒の種類によって使い分ける独自のアプローチが特徴で、それぞれの水質が醸し出す個性を巧みに活かしています。この水の使い分けにより、多様な味わいを生み出し、銘柄ごとの個性を際立たせています。
主要銘柄「奥清水」は六郷湧水群の清らかな水で醸され、淡麗で爽やかな味わいが特徴です。「奥」は六郷の奥深い自然と湧水の恵みを表し、「清水」はそのまま六郷湧水群の名水を意味しています。
もう一つの銘柄「龍門」も同じく六郷湧水群の水を使い、伝統的な製法で醸されています。龍門の名は地域の伝説や歴史に由来し、力強さと繊細さを兼ね備えた味わいで、地元の誇りを体現する銘柄です。
高橋酒造店は小規模な家族経営の蔵で、地域密着型の酒造りを貫いています。地元の契約栽培米を使用し、名水と秋田の寒冷な気候、そして杜氏の熟練した技術が一体となり、六郷ならではの個性あふれる日本酒を醸しています。
同じ六郷地区には栗林酒造店（春霞）や八千代酒造（八千代）といった名水を活かす蔵が並び、六郷湧水群を核とする地域の酒造文化の一翼を担っています。