鳥取県の日本酒銘柄一覧
日置桜
ひおきざくら EC日置桜は「醸は農なり(Brewing is Agriculture)」という哲学を掲げ、酒造りが農業の延長線上にあることを体現する銘柄です。使用する酒米は全て蔵から2-3km圏内の契約農家で栽培された低農薬・低化学肥料米で、真の意味での地酒造りを実践しています。 最大の特徴は「シングル醸造」で、各生産者の米を別々のタンクで発酵させ、生産者間や品種間でのブレンドを一切行いません。この透明性により、米を作る農家との対話と喜びの共有を重視しています。 強力米の使用において30年以上の実績を持つパイオニアで、強力特有の太く濃密な酸味の基盤と、濃縮された旨味が唯一無二の味わいを生み出しています。燗酒にすることで真価を発揮し、広がる酸味と深い豊かさが際立ちます。 完全発酵により糖を全て分解し、甘さを抑えた「非甘口」の酒質を実現。しっかりとした酸味と熟成による深みのある味わいが、食事とのペアリングを引き立てます。 民俗資料館を併設し、酒造り道具や酒器を展示することで、地域の酒文化を保存・伝承する教育的役割も担っています。農業と酒造りの一体性、地域コミュニティとの深い結びつきを体現する銘柄です。
青水緑山
せいすいりょくざん EC青水緑山は「青い水」と「緑の山」という名が示す通り、青谷町の清らかな自然環境を銘柄名に込めた特別純米酒です。山根酒造場の「醸は農なり」という哲学を視覚的に表現した命名といえます。 フレッシュで「青い」香りが特徴で、純粋さと自然の清らかさを感じさせる味わいを実現しています。甘さを抑えた洗練された酒質で、冷やして飲めばキリッとした爽やかさ、燗にすれば豊かな旨味とシャープなキレを楽しめる温度適応力を持っています。 日置桜の製品群の中で、清涼感と自然との調和を重視した位置づけで、農業と一体となった酒造りという蔵の理念を、銘柄名と味わいの両面から表現しています。青谷町の豊かな水と緑に囲まれた環境が生み出す酒として、地域のアイデンティティと結びついた銘柄です。
蘭の舞
らんのまい蘭の舞は優雅に揺れる蘭の花を連想させる銘柄名で、300mlという小容量ボトルで展開される純米酒です。エレガントで繊細な印象を与える命名が特徴です。 小容量パッケージにより、日置桜の品質を気軽に試せる入門的な役割を果たすとともに、少量で楽しみたいシーンに適しています。山根酒造場の完全発酵と熟成という製造哲学、そしてしっかりとした酸味と食事との相性の良さという特徴を受け継いでいます。 力強い強力米製品と対照的に、蘭の舞という銘柄名は山根酒造場の技術的多様性を示しています。骨太な酒質から優雅で繊細な表現まで、幅広いスタイルを醸し分ける技術力の証です。 小さなボトルに込められた、日置桜の哲学と青谷の風土。気軽さと品質の両立を実現し、より多くの人に山根酒造場の酒造りに触れてもらう窓口となる銘柄です。
福泉
ふくいずみ福泉は「福」(幸福・祝福)と「泉」(湧き出る泉)を組み合わせた吉祥的な銘柄名で、福羅酒造の製品ラインナップの一翼を担っています。 山陰東郷とともに、福羅酒造の生酛造りへのこだわりと「とのの湧水」という清冽な水源の恩恵を受けた酒造りの哲学を共有しています。生酛造りによる骨太で深い味わいと、軽快旨口を目指すバランスが特徴です。 めでたさを象徴する命名は、祝いの席や特別な機会にふさわしい酒として、福羅酒造の伝統的な酒造り技術を受け継ぐ銘柄です。
梨吟醸
なしぎんじょう梨吟醸は鳥取県の名産品である二十世紀梨を日本酒と融合させた、地域性豊かな特産品です。伝統的な日本酒造りと地域の農産物を組み合わせた革新的な試みといえます。 吟醸規格の日本酒をベースに、鳥取を代表する果物である梨の風味を加えることで、日本酒とフルーツリキュールの中間的な味わいを創造しています。梨特有のフルーティーで爽やかな香りと、吟醸酒の洗練された味わいが調和した製品です。 地域の農業と酒造りを結びつけ、観光客にも訴求力のある商品として、鳥取の魅力を液体で表現しています。福羅酒造の多様な製品展開の一環として、伝統的な日本酒とは異なる新しい顧客層へのアプローチを示す銘柄です。
大山どり
だいせんどり大山どりは鳥取県のシンボルである霊峰・大山の名を冠した銘柄です。「どり」は「鳥」または酒を意味する言葉遊びと考えられ、大山と鳥取県(かつての伯耆国・因幡国)の結びつきを表現しています。 大山は中国地方最高峰であり、多くの蔵元が仕込み水として使用する大山の伏流水は、鳥取の酒造りの象徴です。銘柄名は大山の清らかな水と、その神聖さへの敬意を込めたものと推測されます。 福羅酒造の製品群の中で、地域のランドマークである大山との結びつきを明示的に示す銘柄として、鳥取の自然と酒造りの深い関係を体現しています。
山陰東郷
さんいんとうごう山陰東郷は東郷湖と東郷温泉郷に位置する福羅酒造の主力銘柄で、生酛造りを中心とした伝統的醸造手法が特徴です。銘柄名は山陰地方と地元・東郷の地名を直接的に組み合わせた、地域アイデンティティの強い命名です。 生酛造りという時間と手間がかかる伝統技法にこだわり、「熟成し燗しておいしい、軽快旨口」を追求しています。硝酸還元菌や乳酸菌など多くの微生物が関与することで、深い旨味と長期熟成に耐える酒質、そして強靭な骨格を生み出します。 100%鳥取県産契約栽培の強力米を使用し、米の味わいをしっかりと残しながら、ズバッと切れる酸が特徴です。鳥取市気高町殿にある「とのの湧水」を仕込み水として使用し、この清冽な水が福羅酒造の酒質の基盤となっています。 温度による味わいの変化を楽しむことを重視し、冷酒、常温、ぬる燗、熱燗、燗冷ましと、それぞれの温度で異なる表情を見せます。和食だけでなく洋食や中華料理とも相性が良く、カレー、シチュー、パクチー料理、唐揚げなど、力強い料理にも負けない酸味と旨味を持っています。 生酛の伝統技法と強力米、そして温度変化による多様な楽しみ方を提案し、山陰の酒文化を代表する骨太で個性的な銘柄です。
諏訪泉
すわいずみ EC諏訪泉は安政期創業の諏訪酒造を代表する銘柄で、社名そのものを冠した伝統的な酒です。智頭町という杉の美林で知られる林業の町に位置し、豊かな森林に囲まれた清らかな水源に恵まれた環境で醸されています。 最大の特徴は熟成を重視した製法で、製成後に約2年間の熟成期間を設けることで、時間をかけて深まる味わいを追求しています。まろやかな口当たりと熟成による旨味、そして食事を引き立てるキレの良い後味を実現し、新鮮さだけでない奥行きのある酒質を目指しています。 智頭川の地下水流から湧き出る硬度約2の超軟水を使用し、この極めて柔らかな水質が、優しく柔らかな口当たりと、疲れない飲み口を生み出しています。山田錦や鳥取県産の玉栄など良質な酒米を使用し、智頭の清らかな水で仕込んでいます。 50度程度の燗酒にすると、熟成による旨味と米の風味、そして酸味が一体となり、真価を発揮します。熟成により味噌汁のような旨味の層が重なり合い、食事を引き立てる酒として機能します。 智頭町の町花である「どうだんつつじ(満天星)」を銘柄名とする製品も展開し、地域の自然と文化を大切にする姿勢を示しています。160年以上の歴史の中で培われた、時間と向き合う酒造りの哲学を体現する銘柄です。
天宝
てんぽう EC天宝は「天の宝」を意味する慶応期創業の梅津酒造を代表する銘柄です。150年以上の歴史を持つ蔵元が、伯耆国大谷(現在の北栄町大谷)の豊かな自然環境の中で醸す、伝統と革新が融合した酒です。 最大の特徴は、2005年醸造年度から全量を酵母無添加生酛造りに転換し、米と米麹だけ(+水)で醸す100%純米蔵となったことです。醸造アルコールや糖類などの副原料を一切使用せず、原料の純粋性に徹底的にこだわっています。 生酛造りは江戸時代から明治時代にかけて主流だった伝統技法で、硝酸還元菌、乳酸菌、酵母など多くの微生物が関与することで、深く複雑な味わいを生み出します。時間と労力を要する製法ですが、五代目蔵元・梅津昌範氏の決断により、蔵の全製品がこの手法で醸されるようになりました。 熟成により丸みを帯び、燗酒にすると酸味が冴え渡り花開く特性を持ちます。味噌汁のような旨味のある酒を目指し、カレー、シチュー、パクチー料理、唐揚げなどの洋食や強い味付けの料理とも見事に調和します。 小さな蔵だからこそ可能な丁寧な手作業と、純粋な原料、そして生酛という伝統技法への完全移行という大胆な決断。妥協なき品質追求が結実した銘柄です。
酒仕込み醸醸
さけじこみじょうじょう酒仕込み醸醸は貴醸酒という特殊な製法で醸された、約30年以上熟成させた超古酒です。貴醸酒とは、仕込みの最終段階で水の代わりに日本酒を使用する製法で、極めて濃厚で甘美な酒質を生み出します。 H3BY(平成3醸造年度=1991年)という表記が示す通り、30年以上の歳月をかけて熟成させることで、深い琥珀色から褐色へと変化し、複雑で重層的な香りと味わいを発展させています。通常の日本酒とは全く異なる、デザート酒や食後酒としての性格を持ちます。 「醸醸」という銘柄名は、酒で酒を醸すという二重の醸造プロセスを表現しており、貴醸酒の本質を言語化しています。生酛造りと30年熟成、そして貴醸酒という三重の挑戦が重なり合う、極めて稀少な製品です。 30年という時間をかけて熟成させる忍耐力は、梅津酒造が時間を素材として扱う哲学の極致です。貴醸酒という希少な製法と、超長期熟成という技術が結実した、蔵の最高峰を示す銘柄です。
うまいがな
うまいがな ECうまいがなは鳥取弁で「美味しいよね!」という意味の特別純米酒で、素朴で親しみやすい銘柄名が特徴です。「がな」は鳥取方言の強調語尾で、地元への愛着と誇りを表現しています。 濃い味わいを持ちながらキレが良い酒質で、生酛造りによる骨太な旨味と、しっかりとした酸味が全体を引き締めています。方言を銘柄名に採用することで、敷居を下げ、親しみやすさを前面に出しています。 梅津酒造の100%純米、酵母無添加生酛造りという厳格な製造哲学を共有しながら、「うまいがな」という直球の銘柄名で、地元の人々に愛される日常酒としての位置づけを示しています。 特別純米という規格でありながら、気負わず楽しめる酒として、鳥取の言葉、鳥取の米、鳥取の水で醸された、真の地酒の姿勢を体現する銘柄です。
冨玲
ふれー EC冨玲は三代目当主・藤三が「フレー、フレー」(Hurrah! Hurrah!)という応援の掛け声を思い起こして命名した「応援の酒」です。「冨」(富)と「玲」(美しく響く)という吉祥的な漢字を当て、祝福と励ましの意味を込めています。 地元の人々に「応援の酒」として愛され、地域コミュニティの相互支援の精神を体現する銘柄です。酵母無添加生酛造りにより、力強く骨太な味わいを持ち、熟成により丸みと複雑さを獲得します。 燗酒にすると酸味が冴え渡り、カレー、シチュー、パクチー料理、唐揚げなど、スパイシーで油分の多い料理と見事に調和します。西洋料理との相性の良さは、日本酒の新しい可能性を示しています。 「フレー」という応援の掛け声が銘柄名の由来であることは、酒が人々を励まし、喜びを分かち合うためのものであるという本質を表現しています。地域の人々とともに歩む、温もりと連帯の酒です。
野花
のきょう野花は湯梨浜町野花地区で栽培される希少な野花梅を使用した良熟梅酒です。梅酒でありながら、梅津酒造の純米酒を基酒として使用し、2年以上の熟成期間を経ることで、深みと調和のとれた味わいを実現しています。 野花梅という地域固有の品種を使用することで、他では再現できない独自性を持っています。一般的な梅酒が中性スピリッツを基酒とするのに対し、梅津酒造の純米酒を使用することで、米の旨味と梅の酸味が重層的に絡み合います。 2年以上の熟成により、梅の風味と酒の味わいが深く融合し、滑らかで洗練された口当たりを獲得。砂糖の甘さに頼らず、素材の持ち味を活かした上質な梅酒を目指しています。 鳥取の農業多様性を日本酒技術で表現し、梅という果実と酒造りの技術が結びついた、地域の豊かさを液体で示す製品です。梅津酒造の忍耐強い熟成哲学が、梅酒という別カテゴリーにも貫かれています。
山陰酔喜元
さんいんよいきげん山陰酔喜元は「酔いの機嫌が良くなる」という願いを込めた銘柄名で、琴浦町八橋の原酒造が醸す地酒です。銘柄名は飲む人が良い気分になり、楽しい時間を過ごしてほしいという蔵元の思いを表現しています。 大山の北麓という立地を活かし、大山からの清らかな伏流水を使用した酒造りを行っています。琴浦町は大山と日本海に挟まれた自然豊かな環境で、良質な水と海の幸に恵まれた食文化が発展してきた地域です。 原酒造は規模の小さい蔵ながら、地域の伝統的な酒造りを継承し、地元の人々に愛される地酒を醸し続けています。「酔喜元」という銘柄名が示すように、酒が人々を陽気にし、コミュニティの絆を深める役割を担ってきました。 大山の恵みと日本海の食文化に寄り添う、温かみのある地酒として、琴浦町の酒造コミュニティの一翼を担っています。
福永
ふくなが福永は「福」と「永」を組み合わせた吉祥的な銘柄で、永遠の幸福を願う命名です。江原酒造本店の三つの銘柄の一つとして、大山の麓という恵まれた環境で醸されています。 大山山系の豊富で清冽な伏流水を使用し、すっきりとした中にも深みのある味わいを実現しています。手造りにこだわった酒造りにより、丁寧に醸された酒質が特徴です。 縁起の良い銘柄名は祝いの席や贈答品として適しており、地域の慶事に寄り添う酒として親しまれています。
伯陽長
はくようちょう伯陽長は「伯耆国の太陽のように長く輝く」という願いを込めた銘柄で、江原酒造本店の主力銘柄の一つです。伯耆国は鳥取県西部の旧国名で、地域の歴史的アイデンティティを銘柄名に反映しています。 大山の麓という立地を活かし、霊峰大山からの清らかな伏流水を仕込み水として使用しています。この水質が江原酒造本店の酒質の基盤となり、すっきりとした中にも深みのある味わいを生み出しています。 大吟醸、純米吟醸、本醸造など幅広い製品ラインナップを展開し、伝統的な技法を守りながらも現代の味覚に合わせた酒質設計を行っています。手造りにこだわった丁寧な酒造りが特徴です。 伯耆国の歴史と大山の恵み、そして永続的な繁栄の願いが込められた、江原酒造本店の伝統を象徴する銘柄です。
琴浦
ことうら琴浦は地元・琴浦町の地名をそのまま銘柄名とした、地域密着型の酒です。琴浦町は大山の北麓から日本海に面する自然豊かな町で、古くから酒造りが盛んな地域です。 町名を冠することで、地域への誇りと愛着、そして地元の人々に愛される地酒であることを明確に示しています。大山の伏流水と地元の米を使用し、琴浦町のテロワールを表現する酒造りを実践しています。 江原酒造本店の三つの銘柄の中で、最も直接的に地域性を打ち出した銘柄として、地元住民や琴浦町を訪れる観光客に親しまれています。琴浦町の自然と文化を液体で表現し、地域のアイデンティティを体現する存在です。
中山郷 夢語
なかやまのさと ゆめかたらい中山郷 夢語は琴浦町の中山地域の里山を銘柄名に冠し、「夢を語る」という詩的な名を持つ特別な銘柄です。中山郷という地名は、大山北麓の里山風景を表し、夢語は酒を酌み交わしながら夢を語り合う時間を象徴しています。 大谷酒造の高い技術力を結集した製品で、強力米を含む鳥取県産の良質な酒米を使用し、名杜氏の技術により丁寧に醸されています。辛口の酒質を基本としながら、大山の伏流水による柔らかな口当たりが特徴です。 里山の自然と人々の営みが共存する中山郷という地域性と、酒を通じて夢や希望を語り合うという人間的な温もりを併せ持つ銘柄です。地域コミュニティの絆と未来への希望を表現し、琴浦町の里山文化を体現しています。
鷹勇
たかいさみ EC鷹勇は大谷酒造を代表する主力銘柄で、「鷹のように勇ましい」という力強い名を持ちます。明治初期創業の150年以上の歴史を持つ蔵元の伝統と技術が結集した酒です。 山田錦、玉栄、そして鳥取県固有の幻の酒米「強力(ごうりき)」を中心に、辛口の酒造りにこだわっています。強力米を使用した酒造りの先駆者の一つとして、強力特有の骨太で力強い酒質を実現しています。 「現代の名工」黄綬褒章受章の坂本俊杜氏をはじめとする名杜氏を輩出してきた蔵元の技術力の高さは、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)でのメダル受賞など国際的にも評価されています。漫画「美味しんぼ」にも取り上げられ、その品質の高さは広く認知されています。 鷹のように鋭く、勇ましく、そして高く飛翔する。強力米という挑戦的な素材を使いこなし、辛口という明確な方向性を貫く、大谷酒造の哲学を体現する銘柄です。琴浦町の酒造りの技術的頂点を示す存在として、鳥取の酒文化を牽引しています。
染井櫻
そめいざくら染井櫻は桜の代表的品種である染井吉野(ソメイヨシノ)を銘柄名に採用した、華やかで優美な印象を持つ酒です。力強い「鷹勇」と対照的に、優雅さと繊細さを表現する銘柄として位置づけられています。 大谷酒造の高い技術力により、桜のように美しく華やかな香りと、上品で洗練された味わいを実現しています。大山の伏流水と鳥取県産の良質な酒米を使用し、丁寧に醸された酒質が特徴です。 日本の春を象徴する桜の美しさを日本酒で表現し、祝いの席や花見の席にふさわしい華やかさを持っています。大谷酒造の製品ラインナップの中で、優美さと繊細さを担う銘柄として、多様な味わいの提供に貢献しています。