鳥取県の日本酒銘柄一覧
久米桜
くめざくら EC久米桜は安政期創業の久米桜酒造を代表する銘柄で、元々米子市で営業していた蔵が大山の麓・伯耆町丸山に移転して以来、大山の恵みを最大限に活かした酒造りを実践しています。 最大の特徴は「平成の名水百選」に選ばれた「地蔵滝の泉」という大山の地下水脈から湧き出る超軟水を仕込み水として使用していることです。硬度が極めて低いこの水が、ミネラル豊富でありながら柔らかな口当たりを生み出しています。 使用する酒米はほぼ全てが蔵から2-3km圏内で栽培されたもので、大山黒ボク土という火山灰由来の肥沃な土壌で育った米を中心に、真の地酒造りを実践しています。伝統的な生酛造りも採用し、時間と手間をかけて米の旨味を引き出す製法にこだわっています。 特筆すべきは「八郷(やごう)」というブランドで、蔵の移転先である伯耆町八郷地区の地元の人々と協力して、限定栽培の山田錦を使用した酒造りを行っています。地域コミュニティとの強い結びつきを重視する姿勢が表れています。 大山の名水と地元の米、そして伝統的な生酛造りの技術が三位一体となり、大山の麓という理想的な環境で醸される久米桜は、鳥取の酒造りの可能性を示す銘柄です。
上代
かみだい上代は鳥取県西伯郡伯耆町で製造される「源流どぶろく」で、日野川の源流域という豊かな自然環境を銘柄名に込めています。廃校となった旧二部小学校福岡分校の建物を活用し、地域資源を最大限に活かしたどぶろく造りを実践しています。 最大の特徴は精米歩合50%という、一般的などぶろくの精米歩合30%程度と比べて格段に高い精米率です。これは日本酒の純米大吟醸並みの精米歩合であり、より洗練された味わいを実現しています。地元七飯町産契約栽培米「五百万石」を使用し、日野川源流域の清らかな水で仕込むことで、高品質などぶろくを目指しています。 地域振興の一環として若い世代が中心となって運営し、大阪から鳥取にUターンした遠藤みさと氏が代表を務めるなど、移住・定住促進のシンボルでもあります。隣接する「かみだい学校(農家レストラン)」では地元食材と上代のどぶろくを楽しむことができ、地域の交流拠点として機能しています。 廃校を活用したどぶろく醸造という革新的な取り組みにより、地域の過疎化対策、雇用創出、観光資源の開発という多面的な役割を果たしています。伝統的などぶろくを高精米という現代的アプローチで再解釈し、地域活性化と品質追求を両立させた存在です。
秀峰 岩泉
しゅうほう いわいずみ秀峰 岩泉は「秀でた峰」と「岩から湧き出る泉」を組み合わせた銘柄名で、奥大山(標高800メートル)という高地に位置する大岩酒造本店の立地と、ブナの原生林でろ過された超軟水の仕込み水という二つの特徴を見事に表現しています。 最大の特徴は硬度約20という極めて柔らかい超軟水を使用していることで、この水質が優しく柔らかな口当たりと、繊細で上品な味わいを生み出しています。広大なブナの森で何百年もかけて自然濾過された天然水は、ミネラルバランスが絶妙で、酒造りに理想的な水質です。 使用する酒米は地元日野郡産を中心に、奥大山の雪解け水で満たされた田圃で、昼夜の寒暖差が大きい気候の中で栽培された良質な米を厳選しています。この環境が米の旨味と香りを育み、伝統的な生酛造りの製法も採用することで、時間と手間をかけた丁寧な酒造りを実践しています。 純米酒、純米吟醸など、超軟水を活かした柔らかで優しい酒質が特徴で、強い主張をせず食事に寄り添う繊細さを持っています。奥大山の厳しい自然環境と、その自然が生み出す極上の水と米。秀峰・大山への敬意と、岩泉という清らかな水源への感謝が込められた、鳥取最奥部の酒造りを象徴する銘柄です。
いくす -IKU'S-
いくすいくす-IKUS-は「醸し、新し、おもしろし」をコンセプトに掲げる、稲田本店の現代的ブランドです。350年以上の歴史を持つ蔵元が、伝統を守りながら新しい時代に対応する姿勢を体現しています。 日本酒を「もっと自由に楽しめるもの」として再定義し、日本酒に対するハードルを下げることを目指しています。EIGHT BRANDING DESIGNによるモダンでミニマルなデザインは、現代的な美意識に訴えかけ、若い世代や日本酒初心者にも親しみやすい印象を与えます。 「IKUS SHIRO」では「単段仕込み」という革新的な製法を採用し、自然に低アルコール度数を実現。穏やかな酸味が爽やかさを生み出し、米の甘みと上品な香りが調和した、新しいバランスの酒質を提案しています。 古典的な「稲田姫」と対をなす存在として、伝統と革新の両立、歴史への敬意と未来への挑戦という稲田本店の姿勢を象徴。「まずやってみる」精神が現代に受け継がれ、日本酒文化の進化を体現する銘柄です。