名手酒造店は海南市黒江に位置し、紀州の地酒「黒牛」の蔵元として全国的に高い評価を得ています。
黒江地区は室町時代から続く黒江塗の産地として知られる歴史ある街で、酒造りにも古くから適した環境を持っています。
名手酒造店の最大の特徴は、和歌山県の万葉黒牛の水を仕込み水として使用していることです。この水は県の天然記念物に指定される名水で、硬度が高く、ミネラル豊富な硬水としての性質を持っています。一般的に日本酒造りには軟水が用いられることが多い中、硬水仕込みという独自のアプローチを貫いています。
硬水仕込みにより、酵母の働きが活発になり、発酵が力強く進むため、キレが良く旨味がしっかりとした酒質が生まれます。この硬水の特性を活かし、辛口でありながら旨味とコクを兼ね備えた独特の味わいを実現しています。
代表銘柄「黒牛」は、その名の通り黒牛の水を用いて醸され、辛口ながら米の旨味がしっかりと感じられ、食中酒として高く評価されています。特に脂ののった魚や濃い味付けの料理との相性が良く、幅広い和食との組み合わせで真価を発揮します。
紀州の風土と万葉の名水が育んだ地酒として、地元だけでなく全国の日本酒ファンから支持を集めています。