吉田酒造株式会社は1877年創業で、琵琶湖北西岸のマキノ町海津に位置する歴史ある酒蔵です。海津は古くから琵琶湖の港町として栄え、北陸地方から京阪へ物資を運ぶ琵琶湖水運の要衝でした。
商人、船頭、労働者、漁師など、海津の経済活動を支える人々に愛され、現在も地元の酒市場で大きなシェアを占めています。港町気質の素直な味わいの地酒として、地域に根ざした酒造りを続けてきました。
月桂冠の元役員である大邊誠氏が「夢酒蔵」という酒蔵再生事業を立ち上げ、後継者不足とコロナ禍による売上減少で存続の危機にあった吉田酒造を引き継ぎました。大邊氏が訪れた地元料理店で、店主が「竹生嶋」の在庫切れを嘆き、生産再開を熱望する姿を目にしたことが、酒蔵再生への決意につながりました。
海津地区は2008年に日本で5番目の「重要文化的景観」に選定されており、琵琶湖と山々に囲まれた風光明媚な環境で酒造りが営まれています。伝統の「竹生嶋」ブランドを守りながら、新たな銘柄「天祐一献竹生嶋」も展開しています。