久世酒造店は天明6年(1786年)に石川県羽咋市にて創業した、230年以上の歴史を持つ老舗蔵元です。
最大の特徴は、日本で唯一、蔵元自らが酒米を栽培する「自社栽培米」による酒造りを実践していることです。約3haの自社田で栽培する酒造好適米「長生米(ちょうせいまい)」は、久世酒造店のために特別に開発された品種で、この米を使用した銘柄「長生舞」は、米の個性が最大限に活かされた唯一無二の味わいを持ちます。
仕込み水には硬度7.62°の硬水と硬度3.07°の軟水の2種類を使い分けており、硬水で仕込む「能登路」は辛口でキレのある味わい、軟水で仕込む「長生舞」は穏やかで旨味の乗った味わいと、水質による個性の違いを巧みに表現しています。
能登杜氏の伝統技法を継承しつつ、自社栽培米という革新的な取り組みを実践する久世酒造店は、「米作りから酒造りまで」を一貫して行う、日本酒業界でも極めて稀有な存在です。自然との対話を大切にし、米の個性を最大限に引き出す酒造りの姿勢は、能登の風土と伝統を現代に伝える貴重な蔵元として高く評価されています。