文本酒造は四万十町に位置し、四万十町で現在も営業している唯一の酒蔵です。創業時には8つの酒蔵が存在していましたが、現在は文本酒造のみが残っています。
主力ブランド「入駒」を使用していましたが、1970年代に前社長が一般公募で新しいブランド名を募集し、「親しみやすい」という理由で「桃太郎」が選ばれました。桃太郎はやや甘口で芳香があり、淡麗辛口が主流の高知県において、特に女性に人気があります。
伝統的な「槽搾り（ふねしぼり）」という圧搾方法を守り続けています。布袋に醪（もろみ）を入れて船の底のような木製の容器に敷き詰め、上からゆっくりと圧力をかけて搾る方法で、現在では非常に稀な技法です。この方法により、雑味の少ない透明な味わいを実現しています。
使用する米は主に高知県産で、そのうち80%は四万十町産です。高知県独自の研究により開発された高知酵母を使用し、吟醸酒に適した突き破精（つきはぜ）麹を用い、美しい四万十川の地下水を仕込み水として使用しています。