見砂酒造は慶応年間(1865-1868年)に石川県羽咋市富永町で創業した、150年以上の歴史を持つ老舗蔵元です。
仕込み水には宝達山(標高637m)の湧き水を使用しており、この清らかな山の水が見砂酒造の酒質の基盤となっています。宝達山は能登半島の付け根に位置する名峰で、古くから信仰の対象とされてきた霊峰であり、その伏流水は軟水で酒造りに適した優れた水質を持ちます。
見砂酒造の最大の特徴は、3年熟成の純米大吟醸を主力商品とする長期熟成酒への取り組みです。通常の日本酒が数ヶ月から1年程度で出荷されるのに対し、3年間じっくりと熟成させることで、まろやかさと深いコクが生まれ、時間が育む複雑な味わいを実現しています。
代表銘柄「朱鷺の里」は、かつて能登に生息していた朱鷺(トキ)にちなんで命名され、能登の自然への郷愁と保護への願いが込められています。地元羽咋市を中心に愛される地酒として、能登の食文化を支える重要な役割を果たしています。