菊姫合資会社は白山市鶴来に蔵を構え、山廃造りの第一人者として日本酒業界で確固たる地位を築いている名門蔵元です。
最大の特徴は、日本酒業界初となる「山廃仕込」と表示した純米酒を発売したパイオニアとしての実績です。1970年代、第七代当主柳泰章と杜氏中倉三郎が山廃造りの確立に心血を注ぎ、菊姫スタイルの山廃醸造法を完成させました。
山廃仕込みは、酵母と乳酸菌が共生しながら育つことで、酸味と濃さのある剛健な味わいに仕上がる伝統的製法です。菊姫の山廃純米酒は、ナッツやカラメルを連想する芳醇な香り、力強い酸味と米のたっぷりとした旨味が相まって、コク豊かな風味を持ち、「男酒」としての個性が光ります。
使用する米は兵庫県三木市吉川町産の山田錦特上米を全量使用し、1〜2年熟成させて出荷するという徹底したこだわりです。ロンドンで開催されたIWC(International Wine Challenge)の純米酒部門でトロフィー(最高賞)を獲得するなど、国際的にも極めて高い評価を受けています。
「日本酒の真の旨味は山廃の旨味」という哲学のもと、伝統的な山廃造りを現代に伝え続ける菊姫は、日本酒文化の守護者として揺るぎない存在感を放っています。