南陽醸造は羽生市上新郷に位置する蔵元で、かつて藍染めで栄えた「藍の郷」羽生の歴史を背景に持つ酒蔵です。羽生市は江戸時代末期以降、青縞の生産地として知られ、藍染め文化が息づく地域です。
5代目蔵元・須永崇春氏とその妹夫婦（渡辺泰代氏、渡辺亮策氏）が中心となり、家族経営による少量生産で個性的な日本酒を醸造しています。3人体制での丁寧な仕込みにより、品質を最優先した酒造りを実践しています。
仕込み水には利根川水系の地下水を使用し、埼玉県産を中心とした厳選した酒造好適米を採用しています。丁寧な仕込みと瓶燗急冷により、特徴的な香りと味わいを保持する独自の製法を確立しています。
「飲む人も造る人も花が陽の光を浴びるように咲いてほしい」という願いを込めた酒造りを実践し、特に看板銘柄「花陽浴」は少量生産ながら全国的に高い評価を受け、入手困難な「幻の日本酒」として知られています。パイナップルやトロピカルフルーツのような南国の果実の香りと、ジューシーで芳醇な甘みが特徴で、旨味・苦味・酸味のバランスが絶妙です。
伝統銘柄「藍の郷」では9号酵母を使用した上品で爽やかな香りの日本酒を提供し、地元で日常的に楽しまれるコストパフォーマンスの高い酒造りも大切にしています。花陽浴よりフルーティさは控えめながら、バランスの取れた旨味が特徴で、地域に根ざした酒造りを続けています。