稲田本店は延宝元年（1673年）創業の、350年以上の歴史を誇る鳥取県を代表する老舗蔵元です。江戸時代から米子の地で酒造りを続け、伝統を守りながらも革新的な取り組みを行ってきました。
昭和6年（1931年）には、全国に先駆けて冷やして飲む「冷用酒」を開発し、「トップ水雷」の名で販売を開始しました。この銘柄名は日露戦争の英雄・東郷平八郎元帥が命名したもので、日本海戦で活躍した新兵器「水雷」をもって酒銘としました。冷用酒という新しい日本酒の飲み方を提案した先駆的存在です。
2002年には、鳥取県原産で約40年ぶりに復活させた酒米「強力」による純米吟醸「稲田姫 強力」を発売し、鳥取の酒米復活プロジェクトに大きく貢献しました。強力という栽培の難しい酒米を復活させることで、真の地酒造りを追求しています。
代表銘柄「稲田姫」は、ヤマタノオロチ退治の神話でスサノオノミコトに助けられた出雲美人・稲田姫に由来し、縁結びや幸福の象徴として命名されました。「醸し、新し、おもしろし。」をコンセプトに掲げる新ブランド「いくす-IKUS-」も展開し、伝統と革新の両立を図っています。
人と米と水の縁を結ぶ酒造り哲学のもと、地域の原料と伝統的技術、そして革新的な発想を融合させ、350年以上にわたり米子の酒文化を牽引し続けています。