高垣酒造は有田郡有田川町小川に位置し、代表銘柄「龍神丸」で知られる蔵元です。
最大の特徴は、仕込み水として空海（弘法大師）ゆかりの清水を使用していることです。高野山を開いた空海は紀州各地を巡歴し、多くの伝説を残しましたが、この地にも空海が杖で地を突いて湧き出させたという「空海水」の伝承があります。
この空海水は清冽で豊富な湧水として知られ、酒造りに適した水質を持っています。高垣酒造はこの霊水を仕込み水として使用し、紀州の風土と空海の伝説が結びついた独特の酒造りを行っています。
代表銘柄「龍神丸」は、この空海水の龍神信仰と結びついた命名と考えられます。水の神である龍神への敬意を表し、清らかな水の恵みを酒造りに活かすという蔵元の理念が込められています。
有田川町という紀州の山間部に位置し、豊かな自然環境と清冽な水源に恵まれた立地を活かした酒造りが特徴です。空海水という歴史的・宗教的な背景を持つ仕込み水を用いることで、地域の伝承と酒造りが結びついた独自性を持っています。
その他にも「里の花」「天久」「近大酒」など多様な銘柄展開を行い、地域に根ざした酒造りを続けています。